2012年08月16日

阿波踊りの可能性 1

お久しぶりです。渉です。
阿波踊りシーズンもクライマックス。
寶船は本場徳島から帰ってきました。

さて今日は阿波踊りの可能性について考えてみます。
最近、芸能と日本の文化を考えるとき、世阿弥の言葉を思い出します。
歌舞伎と阿波踊りは、歴史をさかのぼると起源は同じであると以前書きました
もっと言えば、能も落語も文楽も漫才も、根本は同じなのだろうと思います。
つまり、どの要素を強く押し出し歴史を積み重ねたかの違いで、全く異なる芸能に発展するのです。
その日本文化の根本を、わかりやすく、現在でも通用する言葉で説いたのが世阿弥でした。
世阿弥についてはもっともっと詳しい方々がいると思うので割愛しますが、とにかく日本の芸能を学ぶと必ず通る人物です。その言葉の普遍性は素晴らしく、様々なジャンルの尊敬する先人達を見てみると、驚くほど世阿弥の言葉に当てはまっているのです。
そのため、阿波踊りの未来を考える指標として、世阿弥の言葉を借りて考えてみます。

世阿弥の言葉で、「住(じゅう)する所(ところ)なきを、まず花と知るべし」という言葉があります。
同じ場所で留まるのではなく、常に変化し続けることが芸の本質である、という意味です。
この言葉は、今の僕のスローガンでもあります。
日本文化や伝統というと、先人たちの「型」を受け継ぐことが大事であると考えがちです。
僕自身もそうでした。しかし、いわば伝統の元祖である世阿弥が真逆のことを言っているのです。
文化や芸能こそ、変化し続けなければならない。変化をためらい、「型」だけをコピーする芸は死んだと同じということを説いています。

阿波踊りをかじると、やたらと「正調」という言葉を使う人がいます。
しかし、本当に知識や歴史を知る人は、「正調」なんてものはないことを知っています。
阿波踊りは芸体を様々に変化させていることは、ウィキペディアにすら書いてあるのです。
現在の阿波踊りの芸体は、戦後に少しづつ確立されたもので、その型だけを正調と呼ぶのは、400年以上の歴史の中では表面だけをなぞるようなものです。
ここで誤解のないように改めて言いますが、僕ら寶船は、徳島の阿波踊りを心底尊敬しています。
毎年徳島に行くと、その凄さや雰囲気に圧倒されます。
今でも徳島の連を見る時には、子供の頃に戻ったように心が踊り目が輝いている自分がいます。

本場の演者の皆さんや偉大な先人の皆さんを心からリスペクトしているからこそ、誠実に次の時代にバトンを渡したいという気持ちが湧いてくるのです。

現在の阿波踊り界のトップの連長さんたちは、三大主流を確立させた世代です。
その以前には、娯茶平さんの網打ちも、阿呆連さんの武士の踊りも、天水連さんの奴踊りもありませんでした。
もちろん、女踊りの形も全く違いました。傘の被り方すら違います。
そして興味深いのは、三大主流や今の「型」がない以前には、全く別の「正調」と呼ばれた「型」があったということです。
それに様々なアイディアを取り入れ発展させ、試行錯誤しながら今の「型」として定着させたのです。
まさしく「住する所なきを、まず花と知るべし」だと思います。素晴らしいです。
一世を風靡し阿波踊り界のトップに立った方々は、必ず「新しいこと」を取り入れているのです。

色々な方の話を聞きましたが、新しいことに挑戦するときには必ず批判があるそうです。
「こんなの阿波踊りじゃない」「正調を守れ」「伝統をなんだと思ってるんだ」という声は、古今東西いつでもあるようです。
それでも、観客を楽しませたい、驚かせたい、もっともっと面白いことをやろうという、純粋で前向きな挑戦が固定概念を壊し、新たな「型」を作るのです。

さて、その息子や孫にあたる僕らのすべきことはなんでしょうか。
どのように阿波踊りの可能性を提示し、次の世代にバトンを渡せばいいのでしょうか。

僕らの上の世代の皆さんが確立された「型」をコピーしペーストし続けることでしょうか。
それともその「型」をリスペクトした上で、更なる発展のために新しい挑戦と試行錯誤を繰り返し、生きた芸能を受け継ぐことでしょうか。

住する所なきを、まず花と知るべし。
完全に後者だと僕は思っています。

伝統をリスペクトし、今の時代の人々が心から熱狂できる芸能を探求し続ける、それが阿波踊りの精神です。
そしてそれは、文化や芸能全てに当てはまる普遍的な精神だと思います。


わたる
posted by 創作舞踊集団 寶船 at 19:17| Comment(0) | TrackBack(0) | 米澤 渉 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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