2008年05月26日

時間の経過は必ずしも進歩とは限らない

「明日から仕事を控えた日曜」の深夜に記事を書くのはなかなかシンドイと思いつつ、
どう考えてもこの時間を選んだことによる自業自得感は否めないめぐみです。
前回よりは早い書き上がりで、ホッとしました。
と言っても、今回の方が長いですよ〜!
では、どうぞ。

私たち寶船はよく本番の最中やHPへの書き込み等で、
「独特だ」「斬新だ」と言う様なお言葉を頂きます。
大変、光栄に思っております。
ありがとうございます。

これらのお言葉は、他の連や阿波おどりと一般に呼ばれているもの、
または阿波おどりに対するイメージ
と比較して出てきた感想だと思うのですが、いかがでしょうか?
私たちは、普段「阿波おどりなんか興味無いよ。」と思っている人たちに
「阿波おどりって面白い!!」
と思って欲しいと考え、活動しています。
そして、若い世代を中心にかなりの人たちが持っている

「阿波おどりは格好悪い。」
「阿波おどりは年配のおじさんおばさんがやるもの。」
「単なる馬鹿騒ぎで理性の欠片もない。」

と言う様なマイナスイメージを払拭したいとも、常々思っております。

その方向性から鑑みて、「斬新だ」「独特だ」というのは最高級の褒め言葉と受け取っております。
まあ、時々「異端だ」というお言葉も頂きますが。
私たちが“斬新だ”または“異端だ”と言われるのは、
全員が違う踊りをする。
完全にお客さんを楽しませるためだけのパフォーマンスを行う。
組踊りではフォーメーションだけでなく「振付け」が行われる。
そこ彼処で踊りのみならず、トークが入る。
鳴り物に笛や三味線がないが、大太鼓は古くからのドドンガドンを踏襲している。
しかし締太鼓はスウィング感やノリを最重視した叩き方。
メンバーはほぼ男子高校生・男子中学生(平均在籍年数5年半)で構成されている。
しかも連の幹部も連長と渉外を除き20代前半(しかしキャリアは20年以上。)
地元を持たず、どこの協会などにも参加していない。
などでしょうか?

では、ここで考えてみたいのは

私達 寶船 は、本当に“斬新”または“異端”なのでしょうか?

誤解の無いように書いておきますと、
私たちが“現在の”阿波おどり界において“異端”に映ることは認識しております。
そもそも、前述の通り、普通の阿波おどりと違ったイメージを与えたいと思って
活動しておりますので、まあ、希望通りとも申せましょう。

ただし、私たちの感覚としては“本来の阿波おどり”から見てそんなに“斬新”ではないと、
まだまだ“独創性”が足りないなあと痛感する次第であります。

皆さんは戦後すぐ、そう、
新のんき連を立ち上げた方であり名人の誉れ高い姓億政明さんがまだのんき連にいた頃
の阿波おどりの映像を御覧になったことがありますでしょうか?
またはその前後の徳島阿波踊りの様子を。

「現在の阿波おどりを阿波おどりと言ってもいいものか?」
と不安になるほどの衝撃を感じるはずです。
その音の速さに。そのエネルギーに。その一人一人の隙のなさに。その自由奔放さに。
その、今の阿波おどりからは想像もつかないバリエーションの豊富さに。

私たちは普通の連に比べてなかなか音が速いと思います。
大太鼓を最も古い叩き方、
ドドン ガ ドン
と叩いているのに、あのテンポというのは、
現在では日本一を争えるのではないかと密かに考えている程度には活きがいいといえます。
かつて神楽坂で公演の際のお客様の中に、
徳島県阿波踊り協会所属の連(徳島市内)の方がいらっしゃいまして、声を掛けて頂いたことがありました。
その方が数分一緒に踊ってから
「足がもつれてもう無理!」
と仰っていましたから。

ただし、それはあくまでも現在において。
戦後数年当時のビデオを見る限り、私たちのテンポは総じて普通。
最初はビデオの早回しだと思いました。
しかしお客さんたちの動きを見ると皆さん普通なのです。
つまり、早回しではない。
驚きました。

が!?
個々の踊り手さんの凄さに比べたら、そんなの何でもありません。
まず、第一に画面に映る数十人の踊り手さんが誰一人として同じことはしていません。
それは男性も、女性・・・というか女踊りも。

そして第二に誰を見ても一人の踊り手として全く隙が無い。
ブラウン管越しでも衰えないエネルギーと魅力は、
完成度の高さと細部まで気を使っていることを表しています。

第三に現在では見たことのない動きのバリエーションの豊富さ。
現在あんなことをはじめたら、普通の連なら烈火の如く怒られるはずですよ。
両手を下げて肩だけで踊ったりとかね。
表情を見せる為に動かなかったりなど。

さながら沢山の連が一つの連に凝縮されたよう。

エネルギーと魅力・・・つまり、
目が離せない、離したら損をしそうな気持ちになる力が、
当時の一人の踊り手さんと現在の一つの連が等しいと言われても私は驚きません。
正直に言えば、悲しいかな、それが事実だと思います。

それほどまでに当時の阿波おどりはエネルギッシュで、独創的で、魅力的だったのです。
そう考えれば、他の祭りと違い、全国的に爆発的な人気を得て一気に広がっていったのも納得がいきます。
いくらお鯉さんのレコードが売れたとはいえ、実際の阿波おどりがたいして魅力的ではなかったとしたら、ここまでの広がりを見せることもまた無かったでしょう。

※お鯉さんは5月6日に逝去されました。心よりご冥福をお祈りいたします。

そして、現在の“阿波おどり”と呼ばれている踊りは、魅力はエネルギーは、
当時の踊り手さんに、連に、“阿波おどり”に、
到底敵うものではありません。
しかも、多くの場合、
当時“阿波おどり”として、または“阿波おどり”の魅力や技術として認知されていたものとすれ違う、
下手をすれば対立することに心血が注がれている感は否めません。

たぶんそれが、現在の阿波おどりの本当の姿なのでしょう。
良いとも悪いともいえる事実なのだと思います。

私は現在の“阿波踊り”と呼ばれている踊りを否定しません。
時間の経過が作ってきた真実がその中にあるとも思っています。
ただ!
私は当時の、山火事のように広がっていった炎の様な阿波おどりを、
今の人たちに見せてあげたい。
できることなら私自身が見てみたい。
そう思っています。

その為には、もっともっと独創的に、
一人ひとりがほとばしらんばかりのエネルギーと、
針が折れるほどの緻密さで、
目を合わせたら最後、一瞬の時が永遠に残る、
そんな踊りに向かって精進していかなければ叶いません。
もちろん「一人の踊り手として、その気概を持った人」が集まって
初めて連と呼ぶのです。

吉田松陰も言っています。
「100年の時は一瞬に過ぎない」と。

さて、戦後は約60年。
今から100年後の阿波おどりはいったいどうなっていることでしょう??

めぐみでした。
posted by めぐみ at 01:54| Comment(3) | TrackBack(0) | 米澤 萌 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
速いテンポの踊りは個性的で良いですね
ゆっくりした踊りでも個性的な踊りが見せられるともっと良くなると思います
ロックバンドでも一流だとバラードも素晴らしい曲があります
テンポを早い・中くらい・ゆっくりと変えてどれも個性的な踊りだともっとファンが増えるでしょう
10分間早い踊りだけだと見飽きてしまいます
1〜2分でテンポや踊りを変えると見ていて飽きません
「めぐみ」さん進化を期待しています

徳島の若者に人気の連です
http://www.fooooo.com/watch.php?id=baf6429e0bc94a1b74b840f9e28afa59
Posted by トクシマ at 2008年05月30日 20:34
トクシマさん
コメントありがとうございます。
東京でもやはり大太鼓を打ち鳴らすタイプの連がなかなか人気がありますよ。

私達は同じ位のテンポで跳び回っております。しゃがんだお客さんの頭の上まで。
しかし私は跳びはねるのはあまり得意ではないので、息を飲む様にゆったりと踊っております。

これからも芸の幅が広がるように精進して参りますので、よろしくお願いします。
Posted by めぐみ at 2008年06月02日 21:34
2008年5月26日のこの日記、実は何回も拝読しました。
見る阿呆ですm(__)m
寶船さんのテンポは、昔はそんなに異例のものではなかったというところに大変興味を持ちました。
先日の中村橋阿波踊りで初めて観させて戴きました。もう完全に衝撃でした。独創的なこと極まりない。素晴らしいです。有名連だ、正調だとか、そういったことが権威があるようにいわれますが、あのテンションが大切だと思います。締太鼓の方と提灯で踊る女性のあのテンション。どこに出ても感動を与えると思います。
先週、南越谷のアフター阿波踊りに行き、中村橋に来ていた方々と話をしましたが、正調踊りの旨とする連長さんでさえも、「あのテンションは好き」と、寶船さんの話題で盛り上がりました。
今後も期待しております。
素晴らしい舞踊を有難うございましたm(__)m
Posted by コウ at 2008年09月22日 00:19
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