2012年05月18日

最近見た映画の感想A

わたるです。
映画の感想の続きです。


「エレファント」
2003年、ガス・バン・サント監督

1999年に米国のコロンバイン高校で起きた銃乱射事件を基に作られた作品。
独特の、時間軸を複雑に入れ替えた手法でまとめてあり、映画としてすごく斬新。
通常の映画よりもワンシーンが長く、中盤まではどこにでもある高校の日常を垣間見ているような気分になる。
日本にもいるであろう様々な学生達が廊下で交わりながら時間は紡がれる。すると"あの事件"。実にあっけなくそれは起こる。
呑気な自分がそこにいればいるほど、そこに何も感じなかった自分も同罪のような気分がしてくる。さらっと、しかし深い衝撃が身体を走る。
僕は正直、最初この映画がよくわからなかった。ハリウッド映画に代表されるような、シーンごとに物語が展開していく作品ではなく、なおかつわかりにくい。間伸びすら感じた。でも、胸の奥で何かが引っかかる。次の日にも余韻が残っていた。
翌日もう一度見直し、特典のガス・バン・サントの話を聞く。この映画は通常ならカットする無駄なシーンをたくさん入れたという。脚本もなくあったのは流れだけで、登場人物の学生も俳優を使わず高校生をオーディションで選び、アドリブで喋らせシーンを繋いだそうだ。
なるほど!僕が感じた「エレファント」は、意図的に作られた静かな闘争だったのだ。
収められたリアルタイムの若者は虚無感に溢れていて、すごく息が詰まる。異常に見える物事も、必ず日常の上にある。
以前、秋葉原の無差別殺人事件の時、テレビのコメンテーターが犯人をモンスターに例え、「異常なモンスターの心境なんて考えたって無駄」と言っていた。犯人に同情してはいないのに、なぜかすごく悲しかった。
秋葉原でもコロンバイン高校でも、そこにいるのは僕らと同じ生き物で、突然変異でモンスターが現れたはずがない。「エレファント」は、そんな僕の引っかかりを受け止め、突き付けてくれた。
映画のキャッチコピーは、
「キスも知らない17歳が、銃の撃ち方は知っている」
最高なコピー。キスの経験がないことを告白し、事件直前に男同士でキスをするシーン、すごく印象的。
この映画は特定の人に感情移入がしにくい作りになっている。見る側は俯瞰で若者を見る。そこにこの映画のマジックがある。本編は80分程度。このあっけなさも見事。

タイトルのエレファントは複数の意味が込められているが、「Elephant in the room」という慣用句からきているそうだ。象の置物が部屋にあるという意味で、「異常なものが日常にあっても誰も見向きもしない」というような意味だそう。

ガス・バン・サントは、「グッド・ウィル・ハンティング」も好き。見たのがかなり前だからまた見たいなぁ。「ミルク」もすごく良かった。
中学生の時にリバー・フェニックスがものすごく好きだったから「マイ・プライベート・アイダホ」を見たけど同性愛の内容が当時はよくわからなかった。今見たらわかるかなー。
話は脱線するが、その頃はリバー・フェニックスが好き過ぎて、男なのに写真集を買ったほど。今思えば変な中学生。センチメンタルなたたずまいや早過ぎる死という儚さが当時の自分にフィットしたのだろうか。尾崎豊やジェームズ・ディーン、ジミヘンやジャニスなどのロックスターも同じように、いつの時代も思春期はセンチメンタルな早死にのスターを追いかける傾向がある。



長くなっちゃったので次の映画の感想はまた書きます。


わたる


今週末のワンマン、よろしくお願いします。

――――――――――――――――――――――

■公演名
創作舞踊集団 寶船
2012年 春公演「安らかなる選択」

■日時
・2012/05/19(土)夜の部
開場/開演 18:30 / 19:00

・2012/05/20(日)昼の部
開場/開演 11:30 / 12:00

■料金
2,000円(1drinkサービス付)

■会場
SARAVAH(サラヴァ)東京 
〒150-0046 東京都渋谷区松濤1-29-1 渋谷クロスロードビル B1

■お問い合わせ■
ご質問などありましたら、気軽にお問い合わせください。

創作舞踊集団 寶船(たからぶね)
http://takarabune.org/
Mail:info@takarabune.org


posted by 創作舞踊集団 寶船 at 02:41| Comment(0) | TrackBack(0) | 米澤 渉 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2012年05月15日

最近見た映画の感想@

わたるです。
今週末はついにワンマン。寶船の新境地をぜひ見に来て下さい。

今日は最近見た映画の話をしたいと思います。

最近は、次回の公演の台本を考えなきゃいけないので、インスピレーションを湧かすためにも映画をよく見てます。
TSUTAYAが100円になったのも理由のひとつ。名作や話題作が100円で見れるなんて、すごい時代ですよね。好奇心さえあれば、美意識を豊かにするチャンスがたくさんあるのはいいことだと思います。


「SRサイタマノラッパー」
2009年、入江悠監督

日本のインディーズ映画では稀に見るスマッシュヒットで噂になった作品。埼玉の田舎町を舞台に、冴えない田舎者ラッパーの葛藤を描く。
現在この作品の3が公開中らしく、前から気になっていたので見た。
ヒップホップという題材を、ダサくてイタいという視点で描き、格好良さではないラップミュージックの本質が垣間見れる。主人公イックとトムのもどかしさは若者なら誰にでもあり、それを上手く「かっこ悪さ」として描いたことが最高。
長回しという手法は下手に使うと間伸びしダレるが、この作品におけるラストシーンの長回しは緊張感と実在感を見事に収めている。
生々しく痛々しいほどのどうしようもなさ、かっこ悪さ、それでもぶざまに希望にすがりつくイックとトムに涙する。
感動的な音楽もなし、演技も未熟、低予算で編集も荒い。しかしその切り口で見事に勝利した傑作。
格好良さや可愛さだけを基準に未来を求める若者にこそ見てもらいたい。


「レスラー」
2008年、ダーレン・アロノフスキー監督

栄光時代の全盛期を過ぎ、歳をとったプロレスラーの不器用な生き方を描いた作品。
主人公ランディを演じたミッキー・ロークの圧倒的なリアリティが凄まじい。この不器用で孤独になりながらもレスラーという道を選択する姿に、感情移入しないではいられない。
人間誰でも満れば欠ける。人は必ず歳をとる。その時、人生の着地をどのように迎えるか、誰しもそんなことを考えるだろう。
ランディの、背中で語る演技(文字通り、背中からのショットが多い)に、人間の儚さをみる。悲しいのではない。儚い。レスラーという、勝敗すらも決まっている業界で不器用にもがくランディは、どんな男の心にも必ずいる存在だと思う。
ダーレン・アロノフスキー監督は、「ブラック・スワン」もすごく良かった。しかし特殊な映像で心理描写を図ったブラック・スワンに対し、レスラーは直球勝負。ディテールと繊細な描写のみで見事にランディを収めている。僕としては、レスラーのミッキー・ロークの方が感情移入が強かった。震える作品。


「戦争のはらわた」
1977年、サム・ペキンパー監督

第二次世界大戦を舞台に、ドイツ軍のシュタイナーと部下たちの戦いを描く。
原題の直訳は「鉄十字勲章」。勲章に執着する上司のシュトランスキーと、主人公シュタイナーが対比的に描かれており、単なる反戦映画ではない。戦争をテーマにすると、題材からしてお涙頂戴的な映画になりやすいが、サム・ペキンパーは今でも斬新な描写で見事に傑作に仕上げた。
童謡「ちょうちょ」の明るい歌に乗せて、CGのない時代に今見ても驚くほど凄まじい迫力のアクションシーンが続く。スローモーションとリアリティのある描写、見事な編集で現代でも通用するほどの戦闘シーンになっている。
主演のシュタイナーを演じたジェームズ・コバーンのかっこいいこと!渋い!目力がすごい。
特に僕は、シュタイナーが病院に送られた際の、恐怖で幻覚が見えてしまうシーンが印象に残った。そしてラストのシュタイナーの行動。胸が熱くなった。
サム・ペキンパーはバイオレンス映画の巨匠と言われているが、「ビリー・ザ・キッド」や「ゲッタウェイ」など以外は知らなかったので、なるほどと思った。すごい監督だと思う。

バイオレンスという言葉に悪い印象を持つ人が多いが、「痛み」を描くということはすごく大切なことである。
銃をバンバン撃ったり、人が死ぬくせに「痛み」の伴わない作品は真の優しさに掛けている。スコセッシ、イーストウッド、フランク・ダラボン、スピルバーグ、ケン・ローチ、デビッド・フィンチャー、上記のダーレン・アロノフスキーも、北野武も黒澤明も、みんな「痛み」を描く天才。そしてサム・ペキンパーも。名作には痛みが伴うのだと思う。


映画の感想、思いのほか長くなるので、次回に続く。


わたるでした!



今週末のワンマン、よろしくお願いします。

――――――――――――――――――――――

■公演名
創作舞踊集団 寶船
2012年 春公演「安らかなる選択」

■日時
・2012/05/19(土)夜の部
開場/開演 18:30 / 19:00

・2012/05/20(日)昼の部
開場/開演 11:30 / 12:00

■料金
2,000円(1drinkサービス付)

■会場
SARAVAH(サラヴァ)東京 
〒150-0046 東京都渋谷区松濤1-29-1 渋谷クロスロードビル B1

■お問い合わせ■
ご質問などありましたら、気軽にお問い合わせください。

創作舞踊集団 寶船(たからぶね)
http://takarabune.org/
Mail:info@takarabune.org
posted by 創作舞踊集団 寶船 at 23:39| Comment(0) | TrackBack(0) | 米澤 渉 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2012年05月12日

舞台を作り上げるということ。

舞台を作り上げるとはどういうことか。
一言で言ってしまえば、
“戦い”
だと思う。
舞台を作り上げるとは、自分との戦いであり、メンバーとの戦いであり、お客との戦いであり、何よりも作品との戦いである。
愛がこもるとそこに何らかの闘争心が湧くような気がする。そこにある闘争心とは一口に攻撃という意味ではない。例えばライオンが群を守る為に凶暴化するのと似ているかもしれない。
そこには愛がある。
作品作りには必ず「これだけは絶対に譲れない」というものがあって、それを守る為にはどんな事でもしかねないという心根が、作り手のいわゆるモチベーションに繋がっていく。
しかし、この戦いという表現はあくまで僕の言葉であり、もちろん人によって違う感性の言葉があると思う。
今回の舞台で僕は色んな事を学び体験した。ある意味では自分の弱点や限界も見つけたし、またある意味では僕の才能を再発見する場面もあった。
基本的に演出も振付も全てやっていくことは大変だ。100のうち99は辛いことばっかりだ。しかしその全てを救ってくれるような1があったりするから憎い奴である。
つくづく感じたのは、作り手の最も大事な事は謙虚な気持ちだということ。どんなに一時的に目立ったとしても、その椅子にフッと座ってしまうとそこから新しいものは生まれない。ウォルト•ディズニーの言葉と借りると、現状維持では後退するばかりである。常に謙虚な気持ちを持ち、日々新しい自分の追求をしている者だけがずっといいものを作っていけるのだと思う。



この一年の僕の集大成と言っても過言ではない舞台がいよいよあと一週間で幕を上げる。
今回は今までの寶船の舞台の常識をまた一つひっくり返すような100分間になるであろうと、僕は確信する。

このブログを読んでいる皆さん。
この舞台は僕があなたに捧げるものです。
この20歳の男が今まさにここにいて、まさにあなたがそこにいるということです。

僕は一生泥水を飲んででも何かを表現していくつもりです。

なかなかの自信作。今の僕の心の中。
皆さん是非ご覧になって下さい。会場でお会いしましょうね。




たかし

posted by 創作舞踊集団 寶船 at 02:06| Comment(0) | TrackBack(0) | 米澤 陸 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2012年05月09日

楽しさへの反感

わたるです。

春公演「安らかなる選択」が近付いて来ている。
僕らは2009年に初のライブハウスでのワンマンを開催したが、寶船がワンマンライブを始めたのは実はかなり昔。僕がまだ小学校の時だったと思う。
きっかけは友達に自分のやっている阿波踊りを知ってもらって仲間を増やしたいという「公開稽古」が最初だった。
とはいえ、稽古をただ見せても面白くないだろう、ちゃんと衣装を着て踊ろう、と決めた。場所は小学校の体育館。まだ友達を呼ぶのがすごく恥ずかしかった。
何回かそんな公開稽古をやってから、中学生の時に「阿波芝居」というタイトルの自主公演を開催した。これも場所は体育館だったが、両親が演劇で学校公演をやっていた経験もあり、本格的な舞台を組んで行った。
立て看板を自分達で作り、町のあらゆる所に置いて人を集め、お客さんは百人を越えたと思う。

今では本格的に「ワンマン公演」と打ち出し、場所がライブハウスになった。次回からは規模を大きくし、本格的な劇場になる。

自主公演というのは、集客も資金も大変だし、膨大な時間をメンバー皆が空けなければいけない。「楽しいからやっている」とは簡単には言えないほど毎日大変。

なんでこんなことやってきたのかなぁと考えた。

僕は不安だったんだと思う。
東京で阿波踊りなんて馬鹿にされる対象だったし、自分をさらけ出せるほど成功もしていない。だからやれたんだと思う。これがもし、もっと近くに「楽しさ」があったら、とっくにやらなくなっていた。

だって、周りには山ほど楽しそうに見えたものがあったから。
友達と会うのも楽しい。騒ぐのも楽しい。恋するのも学校の放課後に雑談するのも楽しい。
寶船の「楽しさ」が近くにあったら、同じような近くにある楽しさと同じように、手に取ってブームが過ぎたら飽きたはずだ。

普通、嫌だったら辞めると考えがちだが、逆。男として問屋が卸さない。本当の面白さを掴んで評価もされてないのに逃げたくない。

寶船はそう簡単には「楽しく」なかった。楽しいまでいくには何年もかかるだろうし、不安ばっかり。毎回怒られてばっかり。議論してばっかり。近くに楽しさがなくて本当に良かった。毎回不安で本当に良かった。

僕は「楽しい」ことへの反感がいつもある。「楽しいこと」はエゴに似ている。自分を満たしたい時に「楽しさ」を求める傾向が強い。
でも、積み上げていく面白さには関係性の中で化学反応が起きたプロセスがある。お客さんやメンバーのことを考え、ベストを尽くすプロセスがある。それは満たす為のエゴよりずっといい。

自分のやりたいことは別にたくさんあったし、寶船以外の人生を選びたいとも思った。
でも、阿波踊りを通して気付いた弱みやコンプレックスは、唯一、寶船で壊すことができる。

物語の着地は、自分自身との決着である。問屋が卸すまでいくぜ。

今の気持ちを満たす為の楽しさではなく、積み上げていく面白さを「楽しさ」と呼ぼうよな。

わたる

――――――――――――――――――――――

もうすぐ、私たちの全身全霊をかけたワンマン公演が開催されます!

今回も阿波踊りの枠を越えた、寶船のステージでしか見られないエンターテイメントをお送りします!
5/19と5/20の二日間、どちらでも結構です。
ご期待に応えられるような感動をお届けいたします。
ぜひとも足をお運びください。
よろしくお願いします。

――――――――――――――――――――――

■公演名
創作舞踊集団 寶船
2012年 春公演「安らかなる選択」

■日時
・2012/05/19(土)夜の部
開場/開演 18:30 / 19:00

・2012/05/20(日)昼の部
開場/開演 11:30 / 12:00

■料金
2,000円(1drinkサービス付)

■会場
SARAVAH(サラヴァ)東京 
〒150-0046 東京都渋谷区松濤1-29-1 渋谷クロスロードビル B1

■お問い合わせ■
ご質問などありましたら、気軽にお問い合わせください。

創作舞踊集団 寶船(たからぶね)
http://takarabune.org/
Mail:info@takarabune.org

image-20120509103621.png
posted by 創作舞踊集団 寶船 at 10:36| Comment(0) | TrackBack(0) | 米澤 渉 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2012年05月02日

なんとなくではダメなんだよね

わたるです!

9月の舞台の演出をやらせてもらえそうなので、最近台本を書き始めた。どんな内容にしようか考えている。

演出論やシナリオ・脚本術など、様々な本で勉強したのだが、やっぱりどこにでも書いてあるのが、セオリーよりも何が伝えたいかということの方が重要ということ。

クリエイティブの世界では当たり前中の当たり前だと思うが、実践できている人は意外にも少ないんじゃないかな。
伝えたいことというのは説教くさくなるのも嫌だし、簡単に言語化できるものも厚みがなくてなんかなぁと思う。でも、それはやりたいことや伝えたいことがないのとは全く違うのだ。

僕らは踊りを基本にした団体なのだけれど、例えば「阿波踊り」をしている人でどれくらいの人が表現したいことを考えているだろうか。
ステージの使い方や演出が、ただ単に「なんとなく」で決めている人が多いんじゃないんだろうか。

演劇や映画の世界では当たり前のことが、阿波踊りの世界では当たり前ではない。それは問題だと思うんだ。

表現者は、観客の心を揺さぶることに必死になる。それが生き甲斐。観客の予想を裏切り、期待に応える。それが芸能の魅力なんだと僕は思ってる。

寶船のいいところは、テーマを共有することに一番の時間を割くところ。「今回はこのテーマでいく」ということを決めて、どうしたら伝わるかを考える。
「いつも通りにいい踊りをすれば、はいおしまい」ということにはならない。

好きな脚本家や監督や演出家はたくさんいるが、みんな「伝えたいことを伝えること」のプロフェッショナル。
僕もそうなりたい。
そして、阿波踊りの世界もそうなって欲しい。


というわけで、
創作舞踊集団 寶船の新しい舞台!ぜひいらして下さい!
次回から劇場になるので、ライブハウスでの公演はしばらくないかもしれません!
オススメ!

2012春公演
『安らかなる選択』
5/19(土)開場18:30/開演19:00
5/20(日)開場11:30/開演12:00
会場:SARAVAH東京
チケット2000円
http://t.co/puJ8xiX8

チケット予約は
info@takarabune.org へ

今回のテーマは、
「自分を見つけ、生き方を選ぶ」ということですね。
詳しくは言いません!!

連絡ください!

わたるちゃんでした!
posted by 創作舞踊集団 寶船 at 10:02| Comment(0) | TrackBack(0) | 米澤 渉 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
×

この広告は1年以上新しい記事の投稿がないブログに表示されております。